知らない生き物はむやみに触らない!食べない!
海の中にはいろんな魚や生き物が棲んでいます。狙っている魚以外にもいろいろな魚が釣れてしまいますが、鋭いトゲを持つものや噛みついてくるもの、中には毒針を持つものなど…、危険なヤツらも混ざっています。今回は陸からの釣りでよく釣れる危険な魚をご紹介します。覚えておけば痛い目にあわずに済むかも!
毒魚の代表格、ゴンズイ
海にすむナマズの仲間、「ゴンズイ」です。堤防の夜釣りでは定番の外道で、メバルやカサゴなどの根魚を狙ったウキ釣りや探り釣り、投げ釣りなどでよく掛かります。
背ビレと両側の胸ビレに計3本の毒針があり、刺されると激痛に襲われます。死んでいても毒は消えないので、堤防に放置されているゴンズイも危険です。刺された人の体質などの個人差はありますが、症状が重いと患部の壊死や麻痺、最悪の場合はアナフィラキシーショックにより死亡してしまうこともあるようです…。また、体表の粘液にも毒があるようなので注意が必要です。
刺された場合は棘を抜いてすぐに毒を吸い出し、患部を消毒します。毒はタンパク質からできていて、熱で不活性化します。40~50℃程の火傷しない程度の温度で患部を温めると痛みが和らぎますが、症状が重い時はすぐに病院へ行きましょう。
見様によっては可愛らしい魚でもあり、水族館では「ゴンズイ玉」と呼ばれる小さいゴンズイの群れが展示されることもあります。加熱してしまえば美味しく食べられますが、慣れない人は逃がす方が良いでしょう。危険ですから放置してはいけませんよ!
小さいカサゴのような見た目のハオコゼ
一見すると小さいカサゴかな?と思ってしまうかもですが、これも毒魚の代表格、「ハオコゼ」です。住処もカサゴとよく似ていて、カサゴなどの根魚を狙っているとよく釣れます。
大きくても10㎝ほどの小魚ですが、背ビレには体の大きさには不釣り合いなくらい立派なトゲがあり、これが毒針になっています。小さい魚なので針から外すのに手間取っているとブスリと刺されてしまいます。刺されてしまうとひどく痛みますが、上記のゴンズイと同様にタンパク毒となっていますので、患部を温めると痛みが緩和されます。小さいうえに背ビレ以外にも腹ビレと臀ビレにも毒があるので取り扱いが難しく、針を外すのが困難な場合は無理せずにハリスを切って逃がしてあげましょう。
ハオコゼ以外のオコゼ・カサゴ類にも同様に毒針を持つ魚が多く、オニオコゼやオニカサゴ、サツマカサゴ、ミノカサゴ、イソカサゴなどにも注意が必要です。また、メバル類も弱い刺毒を持つという話もあります。とにかくトゲトゲしている魚には要注意ですね。
刺毒魚アイゴは所変われば人気者?!
サビキ釣りやウキ釣りでは定番の外道である「アイゴ」も危険な毒魚です。引きが強いので「なんだなんだ」と、つい期待させられてしまった釣り人も多いのではないでしょうか。
こちらもタンパク毒を備えており、背ビレ・腹ビレ・臀ビレが鋭い毒針になっています。釣り上げると毒針を広げて大暴れするのでとても危険ですが、実は知る人ぞ知る旨い魚でもあります。
磯臭くて不味いと思われがちですが、下処理と鮮度管理をしっかりすればかなり美味しい魚です。実際に和歌山や徳島では重宝される魚で、酒粕をエサにした専門の釣りもあるとか。沖縄ではアイゴ類の稚魚をスクガラスという塩漬けにして食べますし、近縁のゴマアイゴ(カーエー)は人気の釣り対象魚です。
血抜きして、毒針をハサミで切り取り、内臓を除去、しっかり保冷して持ち帰りましょう。新鮮なものは刺身でも旨いですが、私のオススメは一夜干しです。ただ危ない魚なので慣れない人は無理しないように。
ウェーディングする人はアカエイに要注意!
海の地雷こと「アカエイ」は最大2mにも達する夜行性の怪物で、スズキやマダイ狙いのぶっこみ釣りやウナギ釣り、ヒラメ狙いの泳がせ釣り、シーバスのルアーフィッシングなどでよく掛かります。ズッシリと重い引きですぐに本命ではないことがわかります。
アカエイは尾部に複数のナイフのような切れ味鋭い毒針を持っていて、身の危険を感じると尻尾を振り回して抵抗します。釣り上げた時にも困りますが、最も危険なのは知らずにアカエイを踏みつけてしまった時です。干潟などでシーバスを狙ってウェーディングをしているときに踏んでしまう事故が後を絶ちません。長く鋭い毒針はウェーダーを貫通し、場合によっては刺された患部の壊死、最悪死に至るほどの凶器です。傷が深い、症状が重い場合は迷わず病院へ行きましょう。
ウェーディング時にアカエイに刺されないためには、しっかり目視で確認し、すり足で移動し、ステッキで歩く前に確認し、エイガードを装着しましょう。ただ、エイガードの上からでも貫通する場合もありますので過信は禁物です。アカエイ以外にもトビエイやホシエイ、ツバクロエイなどは毒針を持っているので注意が必要です。
そしてこれも例に漏れず美味しい魚なのですが、刺されるリスクもありますので、慣れない人はスーパーなどで売っているぶつ切りを購入しましょう。私は煮付けが好みです。
歯の鋭い魚はバス持ち厳禁!
海には鋭い歯を持つ魚もたくさんいます。釣りの対象魚として親しまれているヒラメやマゴチ、マダイ、クエ、サワラ、タチウオなどにも油断しているとバクっと噛まれてしまいます。特にタチウオの歯はカミソリのような切れ味で、ちょっと触れただけで大量出血ということも…。また、クロダイやイシダイも貝を噛み砕く強力な顎と歯を持っていますのでうっかり手を近づけないよう注意が必要です。
外道で釣れる魚でもウツボやハモ、ダツ、ブダイ類、フグ類、サメ類など鋭い歯やくちばしを持つ魚には要注意です。特にウツボは明確に噛みつきに来るので、釣り上げてしまった際はハリスを切って極力手を近づけないようにしてリリースしましょう。
このように、ブラックバスのように魚の口に親指を入れて下顎をつかむ「バス持ち」は魚種や大きさによっては大変危険です。ルアー釣りからはじめた人はついやってしまいがちですが、素手ではなくフィッシュグリップや魚バサミを使用する方が安全です。
鋭い切れ味のメスを持つ外科医、ニザダイ
英名でサージョンフィッシュ、外科医魚・執刀医魚という名前の「ニザダイ」は、磯上物釣りでは定番外道です。もの凄いパワーを見せつけてくれますが、上がってきて「なんだ、サンノジか…」となる魚です。サンノジとは尻尾の付け根にある黒い模様が「三」の字に見えることが由来です。
その三の字の部分に外科医のメスのごとく切れ味鋭い骨質板を隠し持っているので注意が必要です。うっかり尻尾を掴んでしまうと酷い目に遭います。
捌くと綺麗な身でとても美味しそうですが、超強烈な刺激臭を持つ場合があります。個体差があるのか、美味しいという人もいますが、私は再チャレンジする勇気がありません。鮮度管理や処理方法ではどうにもならないものもいますのでご注意ください。
閲覧注意!ウミケムシ!
こちらは見てのとおり、魚ではありませんが投げ釣りでよく釣れる「ウミケムシ」です。まさに海の毛虫といった外見ですが、イソメやゴカイ類と同じ多毛類です。肉食性でエサのイソメやオキアミ、小魚を丸飲みにして釣りの邪魔をしてきます。
毛虫のような剛毛にはコンプラニンという毒があり、刺されると患部が腫れて痛みやかゆみを伴います。刺されてしまった場合は、患部から毛を抜き取り、よく水で洗い、ステロイド系軟膏や抗ヒスタミン薬を処方してもらうのが良いと思われます。投げ釣りでウミケムシを極力釣らないためには、頻繁に仕掛けを移動させて食いつく暇を与えないようにすると被害が減ります。
ウミケムシ以外にもイシガニやノコギリガザミ類などの強力なハサミを持つカニ、シャコ、ヒョウモンダコなど魚以外の危険生物が釣れることもあります。また、クラゲの触手が糸に絡まってくることもしばしば。とにかく得体の知れないものは素手で触らないように気を付けましょう。
リスクを理解し、上手に海と付き合いましょう
自然界には美しいもの、素晴らしいもの、美味しいものもたくさんありますが、危険な事もたくさんあります。どの生物のどこの部分が危ないのかを知っていれば、不用意に触ってしまうこともありません。
万一、危険な魚が釣れてしまった際にはフィッシュグリップや魚バサミを活用し、それでも危ないと感じたら無理せずハリスを切って逃がすのが無難です。毒魚は死んでも毒が残っていますので、釣った魚を陸に放置しない、放置されている毒魚に触らないように気を付けましょう。
何がどのように危険なのかしっかり把握し、正しく恐れてフィッシングライフを楽しみましょう!
↓ 危険な魚が分かったから釣りをする?↓
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